instrumental

 

いくつもの窓の中の一つが私のもので あなたのものでそこに生活があり私たちは窓の向こうに想いを馳せるいつだって会えるのは窓の外のあなた

 

わたし、わたし、夜に遊び
星の数ほどの夢を見る
つらら、つらら、飛び越える
雪が降る音を「こんこん」と初めに言った人の手はきっとあたたかい
白色が手から溢れて、あなたが受け止めて、私がうれしくなったのを見逃さないよう、睫毛の先で受け止めて

 

優しいねって笑われたい、陽にあたって茶色く光る前髪が好き、唇が歪んでいることを気にしている、頬にできた赤いニキビも全部受け止めたい、君が結んでくれた靴紐が解けそうだよ

 

風があまりにも強いから「好き」とでも言ってやろう 君にはきっと聞こえないだろう 言葉にするとあまりにもわざとらしい二文字

 

彼は泣くのが下手だからいつも苦しそうに息を止め、大きな身体を小さくする。僕はそんなとき彼のことをどうしても愛おしく思う、涙を舐めてあげたい

 

花の名を思い出せずに君のこと知ったつもりで呼び止めた朝

 

海が延々でないと知った頃から 君だけが僕の街の光

 

僕は愛を持っています ちょうど君と同じ身長と体重の愛

 

居場所を探すことが大人になることだと言った君のいる星空

 

指先を吹き抜ける風 君がいて独りきりじゃ耐えられなくなった

 

思い詰めた顔をしてみる手の甲をつねって泣いて犬に好かれたい

 

しあわせの形しているドーナツの穴から覗いた枯れた生活

 

彼の胸に耳を当てるとザーザーと波の音がした。僕の岸辺に彼が触れる。彼が深く呼吸すると波も大きくなり、僕を飲み込んでいった

 

爆破テロあったら死んじゃうね 笑いながら地下二階のサイゼリヤ

 

「緑の川が流れてる」となぞった君の右だけ太い腕 

 

自分と同じ名前で生きる美しい人

 

嘘の話をしていたい 君の肌に水を流し 小舟を浮かべ

 

人の腕の中で泣けない生き物 塩味のぎゅうぎゅうのおにぎり

 

川の中 うずくまる人の白い背を 遠くみつめる過ぎていった夏

 

泳ぐ君の肌が鱗になってゆく 一枚を盗む 罪をください

 

僕だけが君の故郷であるようにあのなだらかな川であろう 

 

まつ毛は君の光を受け止めるものだから頬にこぼれ落ちたの